DAY3 その1

目を開けても暗闇でした。


瞼を開けても閉じても、まったく変化がない真の闇というのは初めてだったかもしれません。



「確か、寝る前にiPhoneをベッドサイドテーブルに乗せたはず…」と記憶を辿りながら手探りで探すと、確かにそこにありました。

ホームボタンを押すと、4:00を表示します。昨夜、ベッドに入ったのは何時だったか確認していませんが、日本にいるときもこのぐらいの時間帯には起きているので、必要十分な睡眠はとったはずです。

しかし、周囲に灯りはなく、「日が昇るのを待とうか」とまどろんでいたのですが、ふと室内をiPhoneのライトで照らした時、ベッドの横の壁に、10cmほどの蜘蛛、しかもタランチュラ系の肉付きのいい、毛だらけの蜘蛛が貼りついているのを見つけました。

その蜘蛛はじっとしているし、特に害はなさそうでしたが、もう眠ることも出来ないし、気持ち悪いので、荷物をまとめて部屋を出ました。



外も、まだ暗いまま。電気が来ていないので、当然、なんの明かりもないわけですが、薄曇りながら星がところどころ顔を出しており、星明りでライトを点けなくても歩くぐらいは出来ます。

しかし、ここラオスで、自分にはどこにも行くあてがないので、ホテル前のコンクリートの路面にただ横たわりました。路面は冷たく冷え切っていて、誰も動いていない静かな朝でした。



自分のiPhoneの海外パケホーダイを使わずデータ通信は切っていました。しかし、このツアー中、ニシオさんが現地のSIMカードを買ってくれて、1台のスマホを共用のモバイルWi-Fiとしてくれていたのです。電池の消耗があるので、ツーリング中は電源を切って、休憩で止まるたびに電源を入れて電波があるところで通信していたのですが、夜は電源を入れっぱなしにしてくれていたようで、iPhoneを点けるとネットに接続できました。



見るとはなく暇つぶしでネットサーフィンをしていると、ニシオさんのFBページにたどり着きました。そこには昨夜のことを、

「急に泊まることになって、あちこちで食事や宿を断られていたけど、ニャイは、一生懸命、交渉をしてくれておかげで泊まることが出来ました! 感謝!」と書いてありました。


「ああ、小さいな、俺…」


自分がとても恥ずかしく、とても情けなく、人間が出来ていないことを思い知りました。ラオスまで来てなにをやっているんでしょうね。





ゴロリと横になりながら、雲の隙間からのぞく星を眺め、ただ、黙って朝を待ちました。その日は曇りでしたが、次第に明るくなり、街の人々が動き始めました。

DAY3 その1



ニシオさんとGOさんも起きてきて、外に出てきました。GOさんは「すっきりしました?」とだけ聞いてくれ、「はい」と自分は答えました。

ニャイは寝坊して、遅れて起きてきましたが、「グッドモーニング、サンキュー」と声をかけました。



ラオス☆秘境ツーリング最終日、3日目が始まります!





…続く






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