調整内容レポート その2(APS M4 Keymod LPA:後編)
長らくのおつきあいありがとうございます。Gunsmithバトン基本調整内容レポート、『【調整済み・保証付】APS airsoft M4 Keymod LPA (ブローバック) 3万5990円(税抜)』は、組み立て、チャンバーまわりの調整、確認といよいよ最終行程です。
しかしながら、この最後の確認が一番大切なところでして、
お客様に「ちゃんと動いて、ちゃんと飛ぶ」銃をお届けするため、
何度も分解・実射を繰り返すことになります。
組み立て完了したメカボックスをロアーレシーバーに組み付けました。
ここまでの工程でシム調整の様子をまったく紹介していませんが、
これは上述した通り、上画像の状態にグリップを取り付けてからでないと、
正確なギヤの動作音の確認が取れないためなのです。
単純に、ロアーレシーバーに組み、グリップを着けてモーターを回して、
調整が必要であれば逆の手順で分解し、メカボを開けてシムを替えてと、
こうした作業を繰り返せば、正確なシム調整は可能ですが、
すべての製品にこれを行っていたのでは、製造コストが跳ね上がってしまい、
現在の販売価格でのご提供が不可能となってしまいます。
ではどのようにしてこの部分の調整を行っているかと言いますれば、
これまで数百挺以上のAPS製M4シリーズを調整して来た弊社チューナーたちが
研究と試行錯誤の結果蓄積されたデータと、詳細なレシピがあるのです。
そのレシピと、チューナー各人の豊富な経験による判断で、
グリップとモーターを組まずとも、適切なシム調整が可能なのですね。
とは言え、すべてのAPS製品のパーツが完全に同一とは限りませんので、
イレギュラーが出た際にはもちろん、面倒な工程を丁寧に繰り返します。
だからといって、その固体の値段を上げるようなことは当然していません。
上の画像は、ピニオンギヤをモーター軸に固定しているイモネジですが、
中華電動ガンの場合、このイモネジが緩んでいたり、そもそも付いていない
場合が多々あるため必ずチェックし、ネジロック剤でしっかり固定します。
先にご覧いただいたグリップ内の穴は、ヤスリで削って形を整えます。
そのグリップを、ロアーレシーバーに組んだメカボックスに固定。
ここでモーターにSBD(ショットキーバリアダイオード)を取り付けました。
そのモーターをグリップ内に組み付け、バッテリーを繋いで回すことで、
ようやくシム調整の結果を確認することが出来るわけですね。
蓄積されたレシピと、担当チューナーの勘が見事にハマリ、
今回のシム調整には問題がないことが確認出来ました。
ここでベアリング軸受け使用時の、シム調整についての注意点を説明します。
通常の軸受けを使用する場合は、メカボックスを閉じた状態において、
ギヤと軸受けとの間にわずかなクリアランスを設ける必要があるのですが、
ベアリング軸受けの場合、内側から軸受けを押している状態が必要なのだそうです。
ただし、シムを多めに入れればいいという単純な話ではもちろん無く、
最適な調整を出すために、相応の手間がかかることは言うまでもないでしょう。
メカボックスの調整が完了したところで、次はバレルまわりに着手します。
上はAPS製M4 Keymod LPAにもとから入っているホップアップチャンバーですが、
ホップ調整ダイヤルがほとんどの抵抗なしにクルクル回ってしまうので、
これに節度を持たせる加工を施すため、いったん外したところです。
上は、これも同製品に標準装備されているインナーバレルですね。
綺麗な仕上げのステンレス製で、国内製品に引けをとらないクオリティですが、
やはりバレル内部は汚れているので、ブレーキクリーナーでキレイに洗浄しました。
インナーバレル末端の、いわゆるホップ窓の部分は上のような形状になっています。
窓の大きさ、仕上げともに問題はないので、これを活かす方向で調整を進めます。
パッキンはBATON airsoft ソフト面ホップアップパッキンセットに交換するので、
押しゴムも当然セットの物を使うのですが、ホップ窓の長さに合わせてカットします。
ソフト面ホップパッキンを取り付けたインナーバレルをチャンバーに挿しこみます。
ホップパッキンの外周にグリスを薄く塗布しているのは、ZB26の時と同じですね。
バレルを挿しこんだ状態で、チャンバーの後方からライトの光を当て、
給弾口から覗いて、パッキンの位置を目視確認します。
パッキンのリップが、給弾口にほんの少しはみ出していたので、
これもZB26の時と同様ハサミで、リップの下側を0.5mm程度切除します。
こちらの画像、何をしているのか非常に分かりづらくて申し訳ありません。
先の工程でカットした押しゴムが前後にスイングするように、ホップアームの下端を
0.2~0.3mm程度切り落としている様子です。
上記の作業を終え、すべてのパーツを組み込んだチャンバーを、
ホップダイヤルの節度と、それを回した際に押しゴムが水平に下がっているか等を、
チューナーの厳しい目でしっかり確認しています。
これにて、チャンバーを含むバレルまわりの調整はすべて完了です。
アッパーレシーバーにバレル一式を組み込み、ロアーレシーバーと結合して、
ここからは初速のチェックに入ります。
CHRONY M-1弾速計にて、0.2g弾使用時の初速を測ります。
メーカー推奨による光度の照明と、弾速計からの距離等を順守しているため、
かなり正確な初速データが得られる環境になっています。
ノンホップで撃ったところ、79~80m/s前後と、かなり低めの数値が出ました。
お客様にご提供するには、この初速では低過ぎますので、再調整となるわけですね。
こういう時、クイックリリース式のメカボは楽なのではと思ったのですが、
ロアーレシーバーからメカボックスを引き抜くところまで分解する必要はあるので、
ここまでやるなら、スプリング交換の手間は通常のメカボと大差無いとのことでした。
今度は、BATON airsoft 電動ガン用スプリングの90を入れて試射したのですが、
初速が87m/s前後と、弊社の基準に今一歩足りない数値に。
同じメカボとチャンバー、インナーバレルが入った、APS製のM4 Keymod
12.5インチブローバックモデル は、80スプリングで充分な初速が出るというのに、
このモデルでは90スプリングでも微妙に足りない初速が出る奇妙な事実。
組付けや気密に問題は無いので、何故こうなるのかはほとんど原因不明です。
これが中華エアガンの怖いところで、調整が必要な所以というわけですね。
とはいえ、これ以上強いスプリングを入れるという選択はあり得ませんので、
担当チューナーの勘に基づき、適当な長さのカラーを旋盤加工で製作し、
90スプリングを若干嵩上げする方法を試してみました。
尚、カラーを入れる際はスプリングガイド側ではなく、ピストン内部に入れるのが
正しいやり方だと、私デイヴ金子もこの時初めて知りました。
こうして行った3度目のチェックで、ノンホップ時90m/s前後という初速になりました。
担当チューナーの勘で製作したカラーの長さが、バッチリ決まっていたということですね。
前回ご紹介したZB26の様に、すんなり調整が完了することもあれば、
思いがけずハマってしまう今回の様なケースも度々発生するのですが、
こうした問題をひとつずつ丁寧に解決することで、さらにノウハウが蓄積し、
お客様に安心してお使いいただける中華電動ガンがご提供出来るわけなのです。
初速が基準を満たしたところで、分解していたすべてのパーツを組み付けます。
まずはメカボックスにボルトカバーをネジ止め。
ボルトリリースレバーを固定するピンを撃ち込んで・・・
マガジンキャッチ部分を組み付けて、ロアーレシーバーは完成。
アッパーレシーバーと結合した後は、トリガートークさんの40m屋内レンジでの
弾道と集弾性のチェックを行います。
初速に問題が無くても、弾道に大きな乱れがあれば、当然再調整となりますので、
ここは担当チューナーもちょっと緊張する瞬間と言えるでしょうね。
今回は弾道チェックの様子を動画撮影して参りましたので、以下をご覧くださいませ。
何分安物のコンデジで撮っているので、音、画質ともにお粗末で申し訳ありませんが、
30fpsで撮影したので、BB弾が連なって、伸びのある弾道を描いて飛んでいるのと、
40m先のフライパンにカンカンとヒットしている音がおわかりいただけるかと思います。
このテストで、セレクターの動作、弾道と集弾性に問題が無いことを確認しましたが、
担当チューナーの主観だけで判断しないよう、他のチューナーによる確認も行います。
二重のクオリティチェックを行うことで、調整ミスの見逃しを防いでいるわけですね。
こうして、弊社の調整&チューン済み電動ガンとしてご提供出来る商品が
ようやく1挺完成しました。
これだけの手をかけているからこそ、保証をお付けしての販売が出来るのです。
以上、全3回に渡り、APS airsoft M4 Keymod LPA(ブローバック)の
調整内容をレポートさせていただきました。
書いた本人も想定外だった(汗)長い記事にお付き合いいただき、
誠にありがとうございます。
次回も当ブログ読者の皆様にお役立ていただける記事を目指しますので、
何卒お付き合いのほどを、よろしくお願いいたします。
【調整済み・保証付】APS airsoft M4 Keymod LPA
(ブローバック)
販売価格: 35,990 円 (税抜)
しかしながら、この最後の確認が一番大切なところでして、
お客様に「ちゃんと動いて、ちゃんと飛ぶ」銃をお届けするため、
何度も分解・実射を繰り返すことになります。
組み立て完了したメカボックスをロアーレシーバーに組み付けました。
ここまでの工程でシム調整の様子をまったく紹介していませんが、
これは上述した通り、上画像の状態にグリップを取り付けてからでないと、
正確なギヤの動作音の確認が取れないためなのです。
単純に、ロアーレシーバーに組み、グリップを着けてモーターを回して、
調整が必要であれば逆の手順で分解し、メカボを開けてシムを替えてと、
こうした作業を繰り返せば、正確なシム調整は可能ですが、
すべての製品にこれを行っていたのでは、製造コストが跳ね上がってしまい、
現在の販売価格でのご提供が不可能となってしまいます。
ではどのようにしてこの部分の調整を行っているかと言いますれば、
これまで数百挺以上のAPS製M4シリーズを調整して来た弊社チューナーたちが
研究と試行錯誤の結果蓄積されたデータと、詳細なレシピがあるのです。
そのレシピと、チューナー各人の豊富な経験による判断で、
グリップとモーターを組まずとも、適切なシム調整が可能なのですね。
とは言え、すべてのAPS製品のパーツが完全に同一とは限りませんので、
イレギュラーが出た際にはもちろん、面倒な工程を丁寧に繰り返します。
だからといって、その固体の値段を上げるようなことは当然していません。
上の画像は、ピニオンギヤをモーター軸に固定しているイモネジですが、
中華電動ガンの場合、このイモネジが緩んでいたり、そもそも付いていない
場合が多々あるため必ずチェックし、ネジロック剤でしっかり固定します。
先にご覧いただいたグリップ内の穴は、ヤスリで削って形を整えます。
そのグリップを、ロアーレシーバーに組んだメカボックスに固定。
ここでモーターにSBD(ショットキーバリアダイオード)を取り付けました。
そのモーターをグリップ内に組み付け、バッテリーを繋いで回すことで、
ようやくシム調整の結果を確認することが出来るわけですね。
蓄積されたレシピと、担当チューナーの勘が見事にハマリ、
今回のシム調整には問題がないことが確認出来ました。
ここでベアリング軸受け使用時の、シム調整についての注意点を説明します。
通常の軸受けを使用する場合は、メカボックスを閉じた状態において、
ギヤと軸受けとの間にわずかなクリアランスを設ける必要があるのですが、
ベアリング軸受けの場合、内側から軸受けを押している状態が必要なのだそうです。
ただし、シムを多めに入れればいいという単純な話ではもちろん無く、
最適な調整を出すために、相応の手間がかかることは言うまでもないでしょう。
メカボックスの調整が完了したところで、次はバレルまわりに着手します。
上はAPS製M4 Keymod LPAにもとから入っているホップアップチャンバーですが、
ホップ調整ダイヤルがほとんどの抵抗なしにクルクル回ってしまうので、
これに節度を持たせる加工を施すため、いったん外したところです。
上は、これも同製品に標準装備されているインナーバレルですね。
綺麗な仕上げのステンレス製で、国内製品に引けをとらないクオリティですが、
やはりバレル内部は汚れているので、ブレーキクリーナーでキレイに洗浄しました。
インナーバレル末端の、いわゆるホップ窓の部分は上のような形状になっています。
窓の大きさ、仕上げともに問題はないので、これを活かす方向で調整を進めます。
パッキンはBATON airsoft ソフト面ホップアップパッキンセットに交換するので、
押しゴムも当然セットの物を使うのですが、ホップ窓の長さに合わせてカットします。
ソフト面ホップパッキンを取り付けたインナーバレルをチャンバーに挿しこみます。
ホップパッキンの外周にグリスを薄く塗布しているのは、ZB26の時と同じですね。
バレルを挿しこんだ状態で、チャンバーの後方からライトの光を当て、
給弾口から覗いて、パッキンの位置を目視確認します。
パッキンのリップが、給弾口にほんの少しはみ出していたので、
これもZB26の時と同様ハサミで、リップの下側を0.5mm程度切除します。
こちらの画像、何をしているのか非常に分かりづらくて申し訳ありません。
先の工程でカットした押しゴムが前後にスイングするように、ホップアームの下端を
0.2~0.3mm程度切り落としている様子です。
上記の作業を終え、すべてのパーツを組み込んだチャンバーを、
ホップダイヤルの節度と、それを回した際に押しゴムが水平に下がっているか等を、
チューナーの厳しい目でしっかり確認しています。
これにて、チャンバーを含むバレルまわりの調整はすべて完了です。
アッパーレシーバーにバレル一式を組み込み、ロアーレシーバーと結合して、
ここからは初速のチェックに入ります。
CHRONY M-1弾速計にて、0.2g弾使用時の初速を測ります。
メーカー推奨による光度の照明と、弾速計からの距離等を順守しているため、
かなり正確な初速データが得られる環境になっています。
ノンホップで撃ったところ、79~80m/s前後と、かなり低めの数値が出ました。
お客様にご提供するには、この初速では低過ぎますので、再調整となるわけですね。
こういう時、クイックリリース式のメカボは楽なのではと思ったのですが、
ロアーレシーバーからメカボックスを引き抜くところまで分解する必要はあるので、
ここまでやるなら、スプリング交換の手間は通常のメカボと大差無いとのことでした。
今度は、BATON airsoft 電動ガン用スプリングの90を入れて試射したのですが、
初速が87m/s前後と、弊社の基準に今一歩足りない数値に。
同じメカボとチャンバー、インナーバレルが入った、APS製のM4 Keymod
12.5インチブローバックモデル は、80スプリングで充分な初速が出るというのに、
このモデルでは90スプリングでも微妙に足りない初速が出る奇妙な事実。
組付けや気密に問題は無いので、何故こうなるのかはほとんど原因不明です。
これが中華エアガンの怖いところで、調整が必要な所以というわけですね。
とはいえ、これ以上強いスプリングを入れるという選択はあり得ませんので、
担当チューナーの勘に基づき、適当な長さのカラーを旋盤加工で製作し、
90スプリングを若干嵩上げする方法を試してみました。
尚、カラーを入れる際はスプリングガイド側ではなく、ピストン内部に入れるのが
正しいやり方だと、私デイヴ金子もこの時初めて知りました。
こうして行った3度目のチェックで、ノンホップ時90m/s前後という初速になりました。
担当チューナーの勘で製作したカラーの長さが、バッチリ決まっていたということですね。
前回ご紹介したZB26の様に、すんなり調整が完了することもあれば、
思いがけずハマってしまう今回の様なケースも度々発生するのですが、
こうした問題をひとつずつ丁寧に解決することで、さらにノウハウが蓄積し、
お客様に安心してお使いいただける中華電動ガンがご提供出来るわけなのです。
初速が基準を満たしたところで、分解していたすべてのパーツを組み付けます。
まずはメカボックスにボルトカバーをネジ止め。
ボルトリリースレバーを固定するピンを撃ち込んで・・・
マガジンキャッチ部分を組み付けて、ロアーレシーバーは完成。
アッパーレシーバーと結合した後は、トリガートークさんの40m屋内レンジでの
弾道と集弾性のチェックを行います。
初速に問題が無くても、弾道に大きな乱れがあれば、当然再調整となりますので、
ここは担当チューナーもちょっと緊張する瞬間と言えるでしょうね。
今回は弾道チェックの様子を動画撮影して参りましたので、以下をご覧くださいませ。
何分安物のコンデジで撮っているので、音、画質ともにお粗末で申し訳ありませんが、
30fpsで撮影したので、BB弾が連なって、伸びのある弾道を描いて飛んでいるのと、
40m先のフライパンにカンカンとヒットしている音がおわかりいただけるかと思います。
このテストで、セレクターの動作、弾道と集弾性に問題が無いことを確認しましたが、
担当チューナーの主観だけで判断しないよう、他のチューナーによる確認も行います。
二重のクオリティチェックを行うことで、調整ミスの見逃しを防いでいるわけですね。
こうして、弊社の調整&チューン済み電動ガンとしてご提供出来る商品が
ようやく1挺完成しました。
これだけの手をかけているからこそ、保証をお付けしての販売が出来るのです。
以上、全3回に渡り、APS airsoft M4 Keymod LPA(ブローバック)の
調整内容をレポートさせていただきました。
書いた本人も想定外だった(汗)長い記事にお付き合いいただき、
誠にありがとうございます。
次回も当ブログ読者の皆様にお役立ていただける記事を目指しますので、
何卒お付き合いのほどを、よろしくお願いいたします。
【調整済み・保証付】APS airsoft M4 Keymod LPA
(ブローバック)
販売価格: 35,990 円 (税抜)