調整内容レポート その10(ARES PPSh-41:後編)

Gunsmithバトン基本調整内容レポート、ARES PPSh41の後編をお届けいたします。(前編はこちら



調整内容レポート その10(ARES PPSh-41:後編)

調整内容レポート その10(ARES PPSh-41:後編)

タペットプレートはいわゆるVer.2タイプと同形状のもので、画像の通り前面のバリや段差は見受けられないのですが・・・




調整内容レポート その10(ARES PPSh-41:後編)

ARESのPPShはチャンバーの構造が独特なため、給弾ノズルの突き出し量を入念に調整する必要があります。メカボックス内部の、タペットプレート前面が当たる部分を確認し、必要な突き出し量を確保するため、慎重に加工して行きます。




調整内容レポート その10(ARES PPSh-41:後編)

こちらのメカボックス前端部に付いている、見たことあるような無いような形状のパーツは、チャンバーの後半部分と申しましょうか。マガジンから上がってくるBB弾の給弾ルートは見慣れた形状をしていますので、大体の構造はご理解いただけるかと思います。




調整内容レポート その10(ARES PPSh-41:後編)

そしてこちらは、アッパーレシーバー側に設けられたチャンバーの前半部分。乳白色のリングに見えるものが、ホップアップパッキンの末端のリブで、外周に見えるリングは、ホップ調整ダイヤルです。この上下2枚の画像で、どのようにチャンバーが分割されていて、両者が結合された時にどう機能するかがおわかりいただけるでしょうか。この複雑な構造が災いして、未調整状態ではまともな初速や弾道が期待出来ないのですね。
先に給弾ノズルの突き出し量を入念に調整していたのは、この構造を考慮してのことだったわけです。




調整内容レポート その10(ARES PPSh-41:後編)

調整内容レポート その10(ARES PPSh-41:後編)

問題のチャンバー後半部を単体で写した画像がこちらです。下段画像はメカボックス側に来る面なのですが、給弾ノズルのささる穴の上下に、パーティングラインがくっきり浮かび上がっているのが見えますね。このパーティングラインのわずかな高さが、給弾ノズルの突き出し量に悪影響を与えるので、きれいに削り落として平面を出しておきます。



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こちらがその給弾ノズルです。先端のエアー放出穴の形状に特に工夫の無い、シンプルな設計ですね。




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ピストンは元々入っていたものを使用しますが、15枚歯で作られていたため、タイミングのズレによるクラッシュを防ぐために、末端の1枚をリューターで削り落としました。




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また、給弾ノズル先端の穴形状がただの円なので、ピストン後退時のBB弾の吸い込みを防止するため、ピストンヘッドに吸排気用の穴を4箇所ほど開けてやります。




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シリコングリスを塗付したピストンを、同じく内面にシリコングリスを塗り込んだシリンダーに組み付けました。ノズル先端を指で押さえてピストンを前後させたところ、気密に問題は無く、また、ピストンを引く時に給排気穴がしっかり機能していることも確認出来ました。




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工程を端折ってしまいましたが、いつもの調整同様、まずはピニオンギヤとベベルギヤの噛み合う角度を確認した上で、ベベルギヤの高さをシムで合わせ、モーターを回して確認します。ここが決まってしまえば、後の調整はスムーズに進むのですが、それだけに時間をかけて、入念に調整しました。




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ベベルギヤの調整が決まったところで、スパー、セクターを組み付け、シム調整を出して行きます。




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シム調整を終え、必要なグリスアップを済ませた内部パーツを組み付けた状態がこちらです。画像右上に見える、アルファベットのTを逆さにしたようなパーツはセレクターレバーなのですが、このパーツの組み込みにややこつが必要で、担当チューナーがちょっとだけ苦労していましたね。




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内部パーツの組み付けが終わり、メカボックスを閉じる前に、スイッチ保護のためのSBD(ショットキーバリアダイオード)をモーターの端子に取り付けます。




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SBDを取り付けた後、メカボックスを閉じました。分解調整のために外していたモーターの配線も、この時点で付け直しています。




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メカボックスの手前に見える黒いコードを、組み付けの際に挟み込まないように注意しつつ、調整を終えたメカボックスを、ロアーレシーバーに組み付けました。




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元々入っていたスプリングは、ご覧の通り初速調整のためにカットした切断部分が切りっ放しになっていました。当然このスプリングは使わず、BATON airsoft 電動ガン用スプリングに交換します。前編で述べたとおり、クイックリリースタイプのメカボックスになっているため、ここまでの組み立てを終えていても、スプリングの交換は簡単に行えます。




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上記の作業を終えたところで、ロアレシーバーを木製ストックに組み付けてしまいました。この後で再調整が必要になったとしても、スプリングの交換程度ですからね。




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画像は、アッパーレシーバーから取り出したインナーバレルとチャンバーブロックです。チャンバーまわりは金属製の頑丈な作りで、安心感があります。




調整内容レポート その10(ARES PPSh-41:後編)

調整内容レポート その10(ARES PPSh-41:後編)

先にもご覧いただいたチャンバーの末端部分ですが、下段画像のような半透明のホップアップパッキンのリブの部分が顔を出していたわけですね。




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こちらはそのホップアップパッキンのリブのアップ画像ですが、一部が千切れてしまっているのがおわかりいただけるでしょうか。




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分解の際、画像のようにアッパーレシーバーを跳ね上げることで、先にご覧いただいたチャンバー後半部のパーツがホップアップパッキンを強く擦って痛めるのですね。これはARES製のバラライカに限らず、他社製品でも起こる現象なので、ユーザーの方は注意が必要です。つまり、分解時はテイクダウンを避ければ良いわけですが、弊社では万がいちテイクダウンした場合でも、ホップアップパッキンが痛まないように、ある加工を施しているので、安心してお使いいただけるのです。




調整内容レポート その10(ARES PPSh-41:後編)

通常、ノーマルチューンの場合は、BATON airsoft ソフト面ホップアップパッキンセットを使うのですが、チャンバーが前後に分割されている構造上、パッキンのリブが柔らかいのは望ましくないため、今回は硬めのゴムで作られているBATON airsoft 流速 面ホップアップパッキンセットを使用しています。




調整内容レポート その10(ARES PPSh-41:後編)

またしても工程を端折ってしまいましたが、ホップアップパッキンを取り付けたインナーバレルとチャンバーをアッパーレシーバーに組み付け、ロアレシーバーと結合して、初速チェックを行います。ちょっと数字が見辛いですが、0.2gのBB弾で、91m/s(0.828J)前後という、弊社規定の数値に仕上がっていました。
初速に問題が無いことがわかったところで、いつものようにトリガートーク様の40mレンジにての弾道チェックを行いました。今回もその様子を撮影しましたので、以下の動画を是非ご覧くださいませ。



  

レンジが明るいためか、弾道が見辛い映像で申し訳ありません。全画面表示でご覧いただければ、40m先のターゲットに白い弾道が吸い込まれるように延びて行くのがおわかりいただけるかと思います。チャンバーの特殊な構造から、初速と弾道にやや難のあるARES製PPSh41ですが、蓄積したノウハウと熟練チューナーの技術によって、これだけの性能を引き出せるわけですね。




調整内容レポート その10(ARES PPSh-41:後編)

前編の冒頭にも書いたとおり、現在弊社ではPPSh41を販売しておりませんが、持ち込み調整&チューンのご注文をいただければ、当記事にてご紹介したように、ちゃんと動いて、ちゃんと飛ぶように仕上げさせていただきます。ソ連軍コスを楽しまれているサバゲーマー様や、大戦期のSMGファンの皆様は、是非弊社へのお持込をご検討くださいませ。




【持ち込み】調整&チューン
調整内容レポート その10(ARES PPSh-41:後編)



※チューニングは、機種・メーカーにより、工賃の加算や施工不可の場合があります。こちらの『チューニングメニュー補足リスト』をご参照いただき、ご了承いただければ幸いです。




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最後に、これは調整内容とは関係ないのですが、ARES製のPPSh41は、バッテリー交換の際に、バットプレート中央の蓋を開けてロックを解除する必要があります。この蓋のヒンジが、画像の通り非常に細く作られているため、蓋を開けた状態でどこかに引っ掛けでもしようものなら、一発でこの部分が壊れるのです。
バラライカユーザーの皆様は、この点に充分注意することを、どうかお忘れなく!





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